主に造血器腫瘍に対する、最新のエビデンスに基づいた国際的な標準的治療法を行っています。標準的治療法が確立していない疾患に対しては、悪性リンパ腫・多発性骨髄腫については、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)のリンパ腫研究グループ、白血病・骨髄異形成症候群については日本成人白血病研究グループ(JALSG)のメンバーとして 積極的に症例登録を進めています。また第I相から第III相まで数多くの分子標的薬などの新薬治験も行い、難治性のリンパ腫・骨髄腫や白血病・骨髄異形成症候群の治療成績向上を目指しています。造血器腫瘍以外にも再生不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病など難治性疾患の診断・治療も数多く行っています。適応のある患者さんに対しては臍帯血移植を含む同種造血幹細胞移植、および自家末梢血幹細胞移植を積極的に実施しています。また血液・腫瘍内科業務の経験を生かし、院内の輸血教育や自己血採血業務、また固形がん患者も対象とした入院化学療法ベッドの運営も担当しています。
当科が対応する患者さんの主な症状
・貧血
・発熱
・リンパ節腫大
・出血傾向
主な対応疾患とその標準的な治療法
鉄欠乏性貧血
鉄分の補充(貧血の原因となっている鉄欠乏に対し、鉄分の補充を行います)
巨赤芽球性貧血
ビタミンB12や葉酸の補充(貧血の原因となっているビタミンB12や葉酸の欠乏に対しこれらの補充を行います)
自己免疫性溶血性貧血
ステロイド治療(赤血球に対する過剰な免疫の攻撃を和らげます)
特発性血小板減少性紫斑病
・ステロイド治療(血小板に対する過剰な免疫の攻撃を和らげます)
・ピロリ菌除菌(血小板に対する間違った免疫の攻撃を改善します)
・トロンボポエチン受容体作動薬(血小板の産生を刺激し、血小板数を回復させます)
・リツキシマブ(血小板に対する過剰な免疫の攻撃を和らげます)
・脾摘(血小板の破壊を減弱します)
・免疫グロブリン大量療法(一時的に免疫の攻撃を弱め、血小板数を回復させます。)
骨髄異形成症候群
アザシチジン(病因のひとつである過剰なメチル化を是正し、造血を改善させます)
急性骨髄性白血病
・抗がん剤治療(白血病細胞を減らし、正常の造血を回復させます)
・分子標的薬治療(白血病細胞に特異的に作用して、正常の造血を回復させます)
急性リンパ性白血病
・抗がん剤治療(白血病細胞を減らし、正常の造血を回復させます)
・分子標的薬治療(白血病細胞に特異的に作用して、正常の造血を回復させます)
慢性骨髄性白血病
・分子標的薬治療(白血病細胞に特異的に作用して、正常の造血を回復させます)
・抗がん剤治療(白血病細胞を減らし、正常の造血を回復させます)
真性多血症
・瀉血(多すぎる赤血球を減らすため、献血の様に200mL~400mL採血します)
・ハイドロキシウレア(内服の抗がん剤で造血を全体的に抑制します)
・ルキソリチニブ(過剰に出ている造血刺激(JAK2活性)を抑制し、造血を落ち着かせます)
本態性血小板血症
・ハイドロキシウレア(内服の抗がん剤で造血を全体的に抑制します)
・アナグレリド(血小板を産生する巨核球の形成及び成熟を抑制します)
・少量アスピリン(血液をさらさらにして、血管内で血液が固まらない様にします)
骨髄線維症
・ルキソリチニブ(過剰に出ている造血刺激(JAK2活性)を抑制し腫大している脾臓を縮小させます)
慢性リンパ性白血病
・抗がん剤治療(白血病細胞を減らして、リンパ節の腫れを治し、正常の造血を回復させます)
・分子標的薬治療(白血病細胞に特異的に作用して、リンパ節の腫れを治し、正常の造血を回復させます)
悪性リンパ腫
・抗がん剤治療(リンパ腫細胞を減らして、リンパ節の腫れを治します)
・分子標的薬治療(リンパ腫細胞に特異的に作用して、リンパ節の腫れを治します)
・免疫調整薬(免疫を介してリンパ腫細胞に作用し、リンパ節の腫れを治します)
多発性骨髄腫
・抗がん剤治療(骨髄腫細胞を減らし、骨病変や低下した造血機能を改善させます)
・分子標的薬治療(特異的に作用して骨髄腫細胞を減らし、骨病変や低下した造血機能を改善させます)
・免疫調整薬(免疫を介して骨髄腫細胞や骨髄環境に作用して骨髄腫細胞を減らし、骨病変や低下した造血機能を改善させます)
発作性夜間血色素尿症
・ラブリズマブ(赤血球を壊れやすくしている原因に特異的に作用して、赤血球が壊れないようにします。長時間作用型です)
・エクリズマブ(赤血球を壊れやすくしている原因に特異的に作用して、赤血球が壊れないようにします)
顔写真 | 役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
血液・腫瘍内科部長 内田 俊樹 |
昭和62年 | 血液学、造血器腫瘍学、血液悪性疾患・再生不良性、貧血などに対する造血幹細胞移植、臨床腫瘍学、輸血療法 | 医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本血液学会認定血液指導医・専門医・評議員、日本輸血・細胞治療学会認定医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、細胞治療認定管理師、難病指定医 | |
輸血部長 笠井 雅信 |
昭和63年 | 臨床血液、造血細胞移植 | 医学博士、日本内科学会認定内科医、日本血液学会専門医・指導医、日本輸血・細胞治療学会認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本造血・免疫細胞療法学会認定医、細胞治療認定管理師 |
役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
血液・腫瘍内科副部長 小林 美希 |
平成8年 | 血液学、臨床腫瘍学 | 医学博士、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本血液学会認定血液指導医・専門医 |
血液・腫瘍内科副部長 齊藤 繁紀 |
平成14年 | 血液内科 | 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医、日本血液学会認定血液指導医・専門医、日本造血・免疫細胞療法学会認定医、インフェクションコントロールドクター(ICD)、医学博士 |
医長 丹下 直幸 |
平成22年 | 血液内科 | 日本血液学会認定血液指導医・認定血液専門医、日本造血・免疫細胞療法学会認定医、名古屋市小児慢性特定疾病指定医、難病指定医、医学博士 |
常勤嘱託医師(専攻医) 尾関 榛菜 |
令和2年 | ||
常勤嘱託医師(専攻医) 大鹿 祐佳 |
令和4年 |
CT、MRI、血液成分分離装置、フローサイトメーター
血球減少、出血傾向、リンパ節腫大などの血液異常を認め、診断にお困りの時は遠慮なくご紹介ください。血液・腫瘍内科は新薬開発が盛んで治療法の進歩が著しい領域です。当科ではエビデンスに基づいた最良の医療を提供するとともに、難治性の患者さんには治験を含めた最新の治療を提供します。一方、治療が奏効し症状が安定した患者さんの日常的な経過観察や、終末期患者さんの在宅医療について、お近くの先生方のサポートをお願いすることがあると思います。その際はぜひよろしくお願いいたします。