センター長からのごあいさつ
当院は愛知県から救命救急センターの指定を受けています。この度、名古屋市と協定を締結、「最後の砦」として搬送困難事案を一時的に受け入れる施設に市内で初めて指定されました(2021.8.12より協定実働中)。 2017年度より救急科専門研修プログラムを基幹施設として動かしていますが、以降、科員は順調に増員しており、2021年度には、救急科専門医資格を取得済みの専従医8名(学会指導医2名を含む)および専攻医2名の陣容で救急外来および入院診療に従事、愛知県内の市中病院としては屈指の教育環境を自負しています。平日はほぼ24時間、救急外来に救急科専従医を配置できており、院内トリアージをはじめとするチーム医療や院内救命士の活用、院内急変に対応するRRS(Rapid Response System)活動、感染症指定医療機関として対応中のコロナ診療への参画など病院内で横断的な活動を実施中です。赤十字病院の救急部門として災害医療にも積極的に関わっており、科員にはDMAT隊員4名を擁しています。また、入院診療においては、中毒・環境障害・外傷など外因性疾患を中心にカバー範囲を拡張中で、2020年度は335名の入院患者を担当しました(前年比1.7倍)。救急医療充実度のパラメーターの一つともいえる救急車受入台数は、2015年以降毎年10,000台を越えており、2018年度には12,726台でした。コロナ禍の影響は大きく、厳しい状況は続いていますが、これからも「名古屋市東部に位置する救急医療の最後の砦」として地域住民の健康に貢献していく所存です。 |
救急外来の紹介
当院救急外来はER方式を採用し、全診療科疾患に関して1次救急から3次救急までの患者さんを受け入れています。当院救急外来は常に成長過程にあります。利用者である患者さんやそのご家族、近隣医療機関の先生方、救急隊を中心とした消防の方々からご意見をいただきながら、より良い救急外来へと成長していきたいと考えています。
患者さんとご家族の皆さんへ
突然の病気や怪我で救急外来を受診したり、緊急入院をするというのはとても不安なことだと思います。「早く良くなりたい」「早く元気になって欲しい」という皆さんのお気持ちを自分達の活力に変えて、病院職員一丸となって救急診療に従事していきます。
近隣医療機関の先生方へ
当院は各専門診療科がそれぞれの特色を持って診療にあたるとともに、当院の診療機能を近隣医療機関の先生方にご利用いただくことで地域医療に貢献していきたいと考えています。救急外来は地域の公共財産であると自負しています。お困りの際はぜひご相談ください。
当院での研修を希望する医師・医学生の方へ
救急医療には情熱と少しばかりの体力が必要です。必要な知識・技術は指導医と一緒に診療・勉強していく中で身についていきます。救急外来では救急科専門医を中心としたチーム診療体制による屋根瓦教育で皆さんの診療を支えます。 専攻医の先生方には当科での研修後、サブスペシャリティー取得を含めた進路のご相談に対応いたします。2019年1月からは日本救急医学会が認定する指導医指定施設になりました。最高の診療・教育環境でぜひ一緒に頑張りましょう。 |
救急科の実績
研究実績
・日本外傷データバンク
・選定療養費が救急外来受診行動に与えた影響
当科が対応する患者さんの主な症状
・熱中症
・外因性心肺停止蘇生後
・急性医薬品中毒
・特殊な治療介入が必要な中毒
・入院による経過観察が望ましい高エネルギー外傷
主な対応疾患とその標準的な治療法
熱中症
体温管理および脱水の補正。重症度によっては、機能不全に陥った内臓機能の代行治療(例:腎不全→血液透析)
外因性心肺停止蘇生後
蘇生後に生じうる内臓機能不全の代行治療。突然発生した不幸な事態に対するご家族の精神的サポート
急性医薬品中毒
意識障害を中心とする病態に対する経過観察。自殺企図の場合は、精神科救急として必要な介入を行う
特殊な治療介入が必要な中毒
昨年はカフェイン、メチルアルコールの過量内服に対し、各種拮抗剤投与や血液浄化法で介入
入院による経過観察が望ましい高エネルギー外傷
経過観察
顔写真 | 役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
第一救急科部長 救命救急センター長(兼) 稲田 眞治 |
平成5年 | 救急医学、災害医学、集中治療、中毒 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医・評議員、脳死・臓器組織移植に関する委員会、日本臨床救急医学会評議員、日本集団災害医学会評議員、日本中毒学会認定クリニカル・トキシコロジスト、日本集中治療医学会専門医、麻酔科標榜医、ICLSコースディレクター、JPTEC中部世話人、JATECインストラクター、日本DMAT隊員、統括DMAT、日本DMATインストラクター、MCLS管理世話人、ISLSファシリテーター、愛知県救急搬送対策協議会、愛知県救急業務高度化推進協議会同外傷・災害対応検討委員会、名古屋市メディカルコントロール協議会会長、愛知県医師会救急委員会 愛知県本部災害医療コーディネーター、県災害拠点病院協議会、県統括医療調整部会、県DMAT運営部会、愛知DMAT研修WG、愛知DMAT広域医療搬送WG、愛知DMATロジスティックWG、愛知県原子力災害対策推進ワーキングコーディネーター、社会医学系専門医・指導医 | |
第二救急科部長 加藤 久晶 |
平成11年 | 救急一般 | 日本救急医学会救急科専門医・指導医、日本外傷学会外傷専門医、日本熱傷学会熱傷専門医 |
役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
医 長 神原 淳一 |
平成19年 | 救急一般 | 日本救急医学会専門医、日本静脈経腸栄養学会Total nutrition therapy(TNT)、米国集中治療医学会FCCS(Fundamental Critical Care Surpport)、日本DMAT隊員 |
医長 五十嵐 一憲 |
平成18年 | 救急医学 | 日本救急医学会救急科専門医、麻酔科標榜医、日本麻酔科学会麻酔科認定医、日本航空医療学会認定指導者 |
医 師 丸山 寛仁 |
平成23年 | 救急一般 | 日本救急医学会救急科専門医 |
医 師 内田 敦也 |
平成27年 | 救急一般 | 日本救急医学会救急科専門医 |
常勤嘱託医師(専攻医) 柚木 由華 |
平成30年 | ||
常勤嘱託医師(専攻医) 藤原 颯太 |
令和2年 |
高圧ジェットベンチレーター ビデオ喉頭鏡(エアウェイスコープ) 成人用人工呼吸器(トリロジーplus) 自動胸骨圧迫装置(LUCAS 2) バイダケア骨髄ニードルセット(EZ-IO) 汎用超音波画像診断装置(V-scan) その他、安全な救急初期診療を実現するために各種特殊機器を備えています。
救命救急センターには、重症・重篤患者に関わる診療機能だけでなく、地域の救急搬送・救急医療体制への支援機能も求められており、地域の救急医療ニーズに可能な限りお応えすることは我々の使命ととらえています。診療・入院のご要望などございましたら、いつでもご相談ください。