救命救急センターへは多くの脳卒中患者さんが搬送され、併設するSCUにて脳神経内科と共に24時間対応をしています。脳出血に対する血腫除去術、くも膜下出血に対するクリッピング術・コイル塞栓術、脳梗塞超急性期における血栓溶解療法などの緊急手術のみならず、頭蓋内外血管吻合術、頚動脈血栓内膜剥離術や頚動脈ステント留置術など脳梗塞の予防的治療にも積極的に取り組んでいます。開頭手術、血管内治療を使い分け、良好な治療成績を得ています。脳腫瘍に対してはナビゲーションシステム、術中モニタリングを活用し、安全、確実な手術を目指しています。
2013年4月より神経内視鏡センターを設立し、下垂体及び頭蓋底部の腫瘍に対し鼻腔を経由する経鼻的蝶形骨洞手術、水頭症に対する第三脳室開窓術など内視鏡技術を駆使した低侵襲手術を行っています。
2016年8月よりもやもや病専門外来(火曜日午後)を開設し、中部地方におけるもやもや病患者の診療、手術を中心的に行っています。
当科が対応する患者さんの主な症状
・頭痛
・力が入らない(脱力)
・しびれ
・めまい
・目の見にくさ
・けいれん
・歩きにくい、ふらつく
・しゃべりにくい
・意識障害
主な対応疾患とその標準的な治療法
くも膜下出血(破裂脳動脈瘤)
・開頭クリッピング術(開頭手術で動脈瘤にクリップをかけ、動脈瘤が破裂するのを防ぎます)
・血管内コイル塞栓術(カテーテルで動脈瘤にコイルをつめて、動脈瘤が破裂するのを防ぎます)
脳出血
・保存的治療(血圧を下げて、出血の増大を防ぎます)
・開頭血腫除去術(開頭手術で脳出血を除去します)
未破裂脳動脈瘤
・開頭クリッピング術(開頭手術で動脈瘤にクリップをかけ、動脈瘤が破裂するのを防ぎます)
・血管内コイル塞栓術(カテーテルで動脈瘤にコイルをつめて、動脈瘤が破裂するのを防ぎます)
もやもや病
浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(開頭手術でバイパスを作り、脳の血流を改善します)
閉塞性脳血管障害
・浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術(開頭手術でバイパスを作り、脳の血流を改善します)
・内頚動脈内膜剥離術(内頚動脈のプラークを取り除き、脳梗塞を防ぎます)
・内頚動脈ステント留置術(カテーテルで内頚動脈にステントを入れて、脳梗塞を防ぎます)
急性期脳梗塞
脳血栓回収術(脳梗塞急性期に緊急カテーテル治療により血栓を除去し脳梗塞の拡大を抑えます)
脳動静脈奇形
・開頭脳動静脈奇形摘出術(開頭手術で脳動静脈奇形を摘出し、破裂するのを防ぎます)
・血管内塞栓術(カテーテルで脳動静脈奇形に入る血管をつめます)
硬膜動静脈瘻
・流入血管遮断術(開頭手術で動静脈瘻を遮断し、異常な血流を改善します)
・血管内塞栓術(カテーテルで動静脈瘻をつめて、異常な血流を改善します)
神経膠腫(グリオーマ)
・開頭腫瘍摘出術(開頭手術で腫瘍を摘出します)
・腫瘍生検術(小さい穴から腫瘍組織を採取し、診断を確定します)
・放射線治療(治療用放射線を照射します)
・化学療法(抗がん剤や分子標的薬などの薬剤を用いた治療を行います)
髄膜腫
開頭腫瘍摘出術(開頭手術で腫瘍を摘出します)
神経鞘腫
・開頭腫瘍摘出術(開頭手術で腫瘍を摘出します)
・放射線治療(治療用放射線を照射します)
転移性脳腫瘍
・開頭腫瘍摘出術(開頭手術で腫瘍を摘出します)
・放射線治療(治療用放射線を照射します)
下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫
・内視鏡下経鼻的経蝶形骨手術(鼻の穴から、内視鏡観察下に腫瘍を摘出します)
・ホルモン補充療法(不足した下垂体ホルモンを調べ、薬剤で補充します)
小児水頭症
脳室-腹腔シャント術(脳室から腹腔までシャントチューブを通して、髄液を流します)
二分脊椎・脊髄髄膜瘤
髄膜瘤閉鎖術(硬膜の外に出ている脊髄を硬膜内に戻します)
キアリ奇形
大孔減圧術(大孔を開放して、延髄の圧迫を改善します)
正常圧水頭症
・脳室-腹腔シャント術(脳室から腹腔までシャントチューブを通して、髄液を流します)
・腰椎-腹腔シャント術(腰椎から腹腔までシャントチューブを通して、髄液を流します)
三叉神経痛
神経血管減圧術(開頭手術で神経を圧迫している血管を移動させます)
片側顔面けいれん
神経血管減圧術(開頭手術で神経を圧迫している血管を移動させます)
急性硬膜外血種、急性硬膜下血腫
緊急開頭血腫除去術(開頭手術で血腫除去を行い、脳への圧迫を解除します)
慢性硬膜下血腫
穿頭血腫除去術(局所麻酔下に穿頭術を行い、脳への圧迫を解除します)
頭蓋骨骨折
・保存的治療
・頭蓋形成術(骨折による変形が強い場合に、チタンプレートなどを使用し整復します)
顔写真 | 役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
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副院長 管理局長(兼) 脳神経外科部長(兼) 関 行雄 |
昭和60年 | 脳血管障害、脳腫瘍 | 医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会脳卒中指導医・専門医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、小児慢性特定疾病指定医 |
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脳内視鏡センター長 脳神経外科・脳腫瘍外科部長 永谷 哲也 |
昭和63年 | 間脳下垂体外科、頭蓋底外科、神経内視鏡手術 | 医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医 |
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脳神経外科・脳血管外科部長 高須 俊太郎 |
平成9年 | もやもや病、脳血管障害、小児脳神経外科 | 医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中の外科学会技術指導医、日本脳卒中学会脳卒中指導医・専門医、日本小児神経外科学会認定医、日本神経内視鏡学会技術認定医 |
役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
医 長 岸田 悠吾 |
平成14年 | 神経内視鏡手術、間脳下垂体外科、頭蓋底外科、脳腫瘍 | 医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本神経内視鏡学会技術認定医、日本内分泌学会内分泌代謝科(脳神経外科)専門医 |
医 長 新帯 一憲 |
平成19年 | 血管内治療 | 医学修士、日本脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医 |
医 師 川嵜 裕一 |
平成28年 | 脳神経外科一般 | |
常勤嘱託医師 水野 晃宏 |
平成25年 | 脳神経外科一般 | 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医 |
常勤嘱託医師 横山 勇人 |
平成26年 | 脳神経外科一般 | |
常勤嘱託医師(専攻医) 中村 旭宏 |
平成29年 |
もやもや病について |
間脳下垂体腫瘍について |
一刻を争う脳卒中や頭部外傷などに迅速に対応し、専門スタッフが診療に当たるとともに、早期からリハビリテーションを導入しています。
当院では開頭手術に加えて、血管内治療、神経内視鏡手術といった患者さんへの負担を少なくする低侵襲治療にもそれぞれの専門医が常勤して積極的に取り組んでいますので、多彩な神経疾患に対して柔軟に対応することが可能です。他院で治療困難と診断された症例に対しても可能な限り前向きに対応しています。
もやもや病専門外来を新しく開設し、もやもや病に対する診療、手術を積極的に行っています。