形成外科は身体に生じた変形や欠損、あるいは整容的な不満足を機能的にも形態的にもより正常に、より美しくすること”Quality Of Life”の向上を目指す外科系の診療科です。 対象疾患は全身の体表面に及び、頭部、顔面、頚部、胸腹部、四肢など多岐にわたって治療を行っています。
このうち当科ではまぶたの形成外科(眼瞼下垂症・眼瞼内反症・顔面神経麻痺後眼瞼変形・眼瞼腫瘍などの治療)を多数手がけています。特に腱膜性眼瞼下垂症の手術は多く行っており、患者さんによってはまぶたが開くようになるだけでなく頭痛・肩こりの改善が得られる場合があります。先天性眼瞼下垂症に対しては大腿筋膜移植によるつり上げ術を行っています。
また皮膚腫瘍の治療も多く手がけています。通常のメスによる手術に加えて、炭酸ガスレーザーで母斑細胞母斑、脂漏性角化症、眼瞼黄色腫、血管拡張性肉芽腫、汗管腫の治療を行っています。またQスイッチルビーレーザーによる太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性異物沈着症、老人性色素斑の治療を行っています。
小児の先天異常に対する治療では、眼瞼の先天異常のほか、副耳や埋没耳などの耳介変形、手足の多合指趾症、陥没乳頭、臍ヘルニア、漏斗胸などに対応しています。
その他、ケロイドや肥厚性瘢痕への保存的あるいは手術療法、シリコンインプラントや自家組織を利用した乳房再建、腋臭症への手術療法、腋窩多汗症へのボトックス治療、陥入爪へのやイヤー療法およびレーザー治療、傷跡の修正、鼻骨など顔面骨骨折の整復、難治性潰瘍など慢性創傷の治療などを行っております。
関連リンク
日本形成外科学会サイト(一般の方へ)
http://www.jsprs.or.jp/general/disease/ ※外部リンク
当科が対応する患者さんの主な症状
・皮膚のできもの、あざ、しみ
・顔のあざ、しみ
・傷跡の醜状
・視野が狭い、頭痛・肩こりがある
・生まれつきの変形
・術後の変形
・リンパによる四肢のむくみ
・わきのにおいや汗が気になる
・傷が治らない
主な対応疾患とその標準的な治療法
皮膚腫瘍(粉瘤、母斑、脂肪腫など)
摘出術・除去術(皮膚腫瘍をメスやレーザーで摘出・除去します)
皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌など)
切除術・再建術(皮膚悪性腫瘍を切除して植皮や皮弁で再建します)
あざ(母斑等)
レーザー(皮膚に専用のレーザーを照射して色素を薄くします)
眼瞼下垂
眼瞼下垂手術(瞼の皮膚を切開して瞼を上に上げるように縫合固定します)
眼瞼内反症
内反症手術(眼瞼の皮膚や目尻の皮膚を切開して引っ張るように縫合固定します)
陳旧性鼻骨骨折
形成術(鼻骨の偏位を元に骨切りを行い骨を再固定します)
ケロイド
形成術(ケロイドを切除して状態を改善します)
瘢痕拘縮
形成術(突っ張り部分を解除して動きの制限を修正するように縫合します)
副耳
切除(余剰部分を切除します)
耳介変形
形成術(耳たぶの形を整えるように皮膚や軟骨を縫合固定します)
リンパ浮腫
リンパ管静脈吻合術(リンパ管と細い静脈を吻合して浮腫を改善します)
臍ヘルニア
形成術(臍及び周囲の皮膚を切開して陥没するように縫合固定します)
乳房再建(人工物)
人工物による再建(専用のシリコン製乳房を使って乳房を作成します)
乳房再建(自家組織)
自家組織による再建(自分の筋肉を使用して乳房を作成します)
陥没乳頭
形成術(乳頭乳輪部を切開して陥没部を引き上げるように縫合します)
多汗症
ボトックス治療(汗をとめるボトックスという注射を両脇に注射します)
腋臭症
・塩化アルミニウム外用(塗り薬で治療します)
・皮弁法(両脇の皮膚を切開してアポクリン腺を除去して縫合固定します)
役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
医師 丹羽 準也 |
平成29年 | 形成外科一般 | 日本専門医機構形成外科専門医 |
粉瘤や黒子、脂肪腫など日常のありふれた疾患をできるだけきれいに治療します。
顔面の皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌・日光角化症・Bowen病・有棘細胞癌など)の治療では、各種の局所皮弁や複合組織移植を駆使して自然な形態を再建しています。
傷跡の修正手術は受傷後半年以降に行っています。
腋臭症手術、陥没乳頭形成術、腋窩多汗症のボトックス治療は保険診療で行っています。
重瞼術、目頭切開術、加齢で生じた上眼瞼・下眼瞼のタルミとり、フェイスリフトなどの美容外科手術やシミのレーザー治療、刺青の除去は自費診療で行っています。