最近では脳卒中専門医療スタッフによる集学的治療が脳卒中患者さんの生命予後および長期的機能予後に好影響を与えることが認識され、Stroke Care Unit (SCU)(日本語では脳卒中治療室と訳されると思います。)という言葉も医療界ではポピュラーになってきました。日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院では救急医療に携わってきた歴史のなかで早期よりSCUが設置されました。以下にその概略を紹介します。
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院は昭和49年に愛知県救急医療センターに指定されました。同年、常勤の脳神経外科医を迎えて脳神経外科が独立診療科として創設されました。昭和50年には集中治療室(ICU)が開設されましたが、中部地区ではその当時名古屋市立大学付属病院に次ぐ2番目の開設でした。その後間もなく、急性期の脳卒中診療のためにも専用の集中治療室が必要との認識が高まり、昭和52年(1977)に当時の2病棟3階にSCUが(おそらく中部地区で最も早く)開設されました。昭和58年に5病棟5階に脳神経外科専用病棟が開設されると、その中にSCU(4床、専任看護師1名)が移転され、脳神経外科の医局もそれに隣接する形で設けられました。医師も常に重症患者さんの近くにいられる環境が整ったのです。その後SCUは30年近くにわたって、日夜患者さんの安全を見守り回復を促す治療室であると同時に、若手脳神経外科医の研鑽の場ともなっています。平成13年(2001)に救命救急センター棟が完成してからは、SCUはその5階に移転、増床され(8床、専任看護師2名)脳神経内科との共同運営となっています。2020年現在、SCUは16床運用しています。SCUではよりよい治療結果を追求してリハビリテーションスタッフが早期より治療に携わっていますが、最近では摂食・嚥下障害認定看護師や脳卒中リハビリテーション認定看護師も活躍しています。