【肝疾患】
当院は肝疾患専門医療機関として県から指定を受けており、診断・治療に対して精力的に行っています。B型肝炎に対する核酸アナログ治療やC型肝炎に対して高い治癒効果(ウイルス排除率:95%以上)を有するインターフェロンフリー治療といった抗ウイルス治療については東海地区ではトップクラスであり、多数例の治療を行っています。肝癌に対するラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、分子標的薬による全身化学療法、放射線療法などにも力を入れており、肝癌や患者さんの状態を個別に検討することで、患者さんの負担が少なく、より効果が大きい治療法を選択しています。また、当院では肝移植手術は行っていませんが、その適応の有無についての検討は行っており、移植可能な施設との連携をとっています。
【膵胆道系疾患】
膵胆道系疾患は良性から悪性まで幅広くそのすべてを取り扱っています。近年、内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)、超音波内視鏡検査(EUS)、EUS下で穿刺を行う超音波内視鏡下生検(EUS-FNAB)など内視鏡手技の発達に伴い、多くの治療が可能になってきました。
胆嚢結石発作や胆嚢から結石が落下した総胆管結石は腹痛や発熱などを伴い、当院では非常に多くの方々が救急疾患として来院されます。これらの疾患に対しては手術困難な例においても、必要に応じてダブルバルーン内視鏡も用いることで、短時間で侵襲の少ない内視鏡的砕石術や胆道ドレナージ術による早期の回復・退院を目指しています。
急性膵炎は癌でないにも関わらず重症例は重篤になり、生命にかかわることもある病気です。他科との綿密な連携のもと、救急外来での迅速な診断や、集中治療室入室による集学的治療を積極的に行うことで救命を目指しております。また急性膵炎の合併症としてお腹の中の水ぶくろ(被包化膵壊死や膵仮性嚢胞)が発生することがあり、さらに感染すると重篤になりますが、超音波内視鏡下嚢胞ドレナージ術(EUS-CD)を行うことでの治癒を目指しています。
胆管癌、胆嚢癌、膵癌などの当領域悪性腫瘍は癌の中でも予後の悪い疾患といわれており、治療方針決定には迅速な診断が必要です。画像上これらの癌と見分けが難しい良性疾患(自己免疫性膵炎やIgG4関連疾患、IgG4関連硬化性胆管炎)という病気もあり、最新の経口胆道鏡を用いることで、以前は組織採取が不可能であった胆嚢、胆管、膵臓、腹腔内リンパ節、後腹膜、縦隔からの組織診断にて良悪性の鑑別およびステージ診断をしております。その後病理部と連携した診断、外科と連携した治療方針決定を行うことで、個別化治療を含めた最新治療法の実施を目指しています。
また、この領域の悪性疾患はよく胆管閉塞による黄疸や胃十二指腸閉塞による腸閉塞を起こしますが、ERCPやEUS-FNAB手技を用いた胆管ドレナージ術(胆管瘻孔形成術 EUS-BD)や、内視鏡による胃十二指腸ステント留置術を行うことにより、より侵襲の高い外科的バイパス手術の回避を目指しております。
【消化管疾患】
早期の食道癌、胃癌や大腸癌に対して拡大観察や画像強調観察(NBI)を用いて正確に診断を行い、粘膜下層剥離術(ESD)による治療を積極的に行っています。一方、進行した食道、胃や大腸の癌に対しては、抗癌剤を用いた化学療法を外来化学療法センターと連携して、安全で安心な治療を提供するよう心掛けています。
また、癌の進行によって狭窄や閉塞をきたすことがしばしばあり、ステントという金属の器機を用いた拡張術も行っています。
癌以外では、年々増加している潰瘍性大腸炎やクローン病という炎症性腸疾患があり、最新の治療法に沿った治療を行っています。
当科が対応する患者さんの主な症状
・悪心、嘔吐
・胸やけ
・腹痛
・吐下血
・下痢
・便秘
・腹部膨満
・黄疸
主な対応疾患とその標準的な治療法
大腸ポリープ
大腸内視鏡を用いて切除します
大腸がん(結腸がん、直腸がん)
内視鏡にて正確に診断し、手術治療か内視鏡治療か判断します
胃がん
内視鏡にて正確に診断し、手術治療か内視鏡治療か判断します
閉塞性黄疸、胆管炎
来院後、速やかに内視鏡を用いて、ドレナージ術を行います
胆石症、総胆管結石
内視鏡にて総胆管結石を摘出します
肝がん
カテーテルやラジオ波にて治療します
腸閉塞
・鼻から管を入れます(イレウス管)
・肛門から管を入れます(イレウス管あるいは金属ステント)
膵臓がん
内視鏡で針を刺して細胞を取って正確に診断し、治療に結びつけます
食道がん
内視鏡にて正確に診断し、手術治療か内視鏡治療か判断します
結腸憩室炎
抗菌薬治療(原因となる菌に対して効果のある抗菌薬を用いて感染部位の治療を行います)
下部消化管出血
速やかな内視鏡検査を行います
膵炎
大量補液や抗菌薬治療で治療します
胆のう炎
経皮的に針を刺してドレナージを行います
急性胃腸炎
抗菌薬治療(原因となる菌に対して効果のある抗菌薬を用いて感染部位の治療を行います)
上部消化管出血
速やかな内視鏡検査を行います
顔写真 | 役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
消化器・肝胆膵内科部長 林 克巳 |
平成4年 | 消化器科疾患全般、肝・膵胆道系疾患 | 日本内科学会総合内科専門医・認定内科医、日本消化器病学会指導医・専門医・東海支部評議員、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医・東海支部評議員、日本医師会認定産業医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、日本胆道学会認定指導医、日本膵臓学会指導医 | |
消化器・消化管内科部長 山田 智則 |
平成7年 | 消化器科疾患全般、消化管疾患 | 日本消化器病学会指導医・専門医・東海支部評議員、日本内視鏡学会指導医・専門医・学術評議員・東海支部評議員、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、医学博士 | |
消化器・腫瘍内科部長 宮部 勝之 |
平成9年 | 消化器内科、胆・膵領域 | 日本内科学会認定内科医・専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医・東海地方会評議員、日本消化器内視鏡学会指導医・専門医・東海地方会評議員・学術評議員、日本肝臓学会指導医・認定肝臓専門医、日本膵臓学会指導医、日本胆道学会指導医、日本緩和医療学会緩和医療認定医、日本医師会認定産業医、難病指定医、日本病院会認定病院総合医、医学博士 |
役職名 氏 名 |
資 格 取得年 |
主な専門領域 | 資 格 |
消化器・消化管内科副部長 塚本 宏延 |
平成13年 | 消化器疾患全般、消化管疾患(内視鏡治療)、炎症性腸疾患 | 日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本消化器内視鏡学会指導医・消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会指導医、日本消化管学会胃腸科指導医、難病指定医、医学博士 |
医長 齋藤 彰敏 |
平成22年 | 日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会認定肝臓専門医、日本医師会認定産業医、名古屋市難病指定医、日本内科学会総合内科専門医 | |
医長 熱田 直己 |
平成22年 | 消化器疾患全般、胆膵疾患の診断・治療(EUS・ERCP) | 日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会専門医 |
医 師 宮城島 俊 |
平成25年 | 消化器内科 | 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本消化器病学会消化器病専門医、日本内科学会認定医、難病指定医 |
医師 森 俊敬 |
平成26年 | 消化器内科 | 日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 |
医師 武仲 祐弥 |
平成27年 | 消化器内科 | 日本内科学会認定内科医、日本消化器病学会認定消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医、日本静脈経腸栄養学会Total nutrition therapy(TNT) |
常勤嘱託医師 加藤 大介 |
平成29年 | ||
常勤嘱託医師(専攻医) 有賀 亮太 |
平成30年 | 日本内科学会内科専門医 | |
常勤嘱託医師(専攻医) 石田 みなみ |
令和2年 |
いつも連携の診療所の先生方には、大変お世話になっております。当科ではいろいろな消化器疾患に対し、トップクラスの医療技術と医療機器を駆使して診断・治療を行っています。先生方からご紹介いただきました患者さんについては、すみやかに診断し、最善の治療を行います。すべての患者さんにご満足いただけるように、また紹介していただいた先生方にも満足していただけるように日々努力しております。治療が必要だと思われる患者さん、また診断に苦慮する患者さんなどが見えましたら、ご遠慮なく当科にご相談ください。