日赤愛知災害管理センター棟

日赤愛知災害管理センター棟

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センターの概要

愛知県の地域中核災害拠点病院である当院は、南海トラフ地震の発生などの際に地域の災害医療の拠点となるべく「日赤愛知災害管理センター棟」を地域の方々からのご支援も得ながら建設しました。

この日赤愛知災害管理センター棟は、地下2階、地上4階(免震層含む)の全国的にも珍しい災害マネジメントに特化した施設です。
災害が発生した時に、DMATや全国の赤十字救護班など、県内あるいは全国から被災地に集まってくる医療チームと連携・共同して、必要とされる医療を提供するためのマネジメント拠点となる専門施設です。当院では、東日本大震災をはじめとした非常に多くの災害救護の経験から、病院機能と災害救護機能とは完全に分けるべきと考え、災害マネジメント専用の施設を建設するに至りました。
当院は、地盤が固く丘陵地にあるため地震の際に津波や液状化の心配がないことに加え、当センター棟の建物自体も免震構造を持ち、自家発電・地下水浄化システムなど病院から独立したインフラを備えています。インフラ以外には、災害医療に必要な物品や医療チームの装備品を保管する倉庫や、災害対策本部および災害情報センターなどの機能を備えています。
平時は災害研修や地域の皆さまへの情報発信、子どもたちへの防災・減災教育などの場として活用しています。
なお、施設内には日本赤十字豊田看護大学のサテライトキャンパスが併設されています。

メッセージ

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院設立100周年ということで何かひとつ想いを実現させたいと手掛けたのが、この日赤愛知災害管理センターを建設し災害医療をマネジメントすることです。
私は今まで国内外色々な救護活動に携わってきましたが、その時いつも思っていたのはこんなにも被災者の方が多くみえるのにこの人たちを救うための会議や救護班が集結する専用の場所がない。救護活動を円滑に行うための基地みたいなものがあったらどんなにいいだろうと思っていました。
当院の使命は高度医療と救急医療の提供です。さらに、緊急時のもう一つの使命は赤十字病院としての災害医療です。地域の皆さんが安心・安全に暮らせて、いざという時に皆さんの命を守り、この施設が 有事の際に最大限活きるよう私たちは努めてまいります。
近年、南海トラフ地震が切迫しています。この地震では膨大な数の方々が犠牲になると予想されています。
ここ八事の地は有事の際、名古屋で最も安全な地域と言われており、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院はその立地に位置し、豊富な経験を持つスタッフと高度医療に優れた災害医療の拠点病院として大きな役割を担うことになります。
日本中の赤十字、災害医療チームがここに結集し一人でも多くの命を守るための重要な施設がこの地に完成したことは、私たちにとってとても心強いことだと感じております。

災害医療マネジメントの拠点としての機能

災害対策本部および災害情報センター
当院では初となる常設の対策本部を設けました。ICTを活用し、既存棟と離れていても災害時の主要なコマンドエリアとなる予定の幹部会議室やインフォメーションセンターといつでも繋げることができます。また、災害規模よっては院外の関係者を交えた会議が実施されることも想定し、中継や録画もできるようなっています。 また、情報センターには無線機器や3系統の衛星通信機器を常設してあり、一般通信回線の途絶にも対応できるよう多元化を図りました。

情報共有のための大会議室
約120名収容のホールを災害対策本部に併設しています。災害時には、いわば本部の拡張エリアというイメージで、最も重要な意思決定機関となる災害対策本部で決まった方針や方針決定のための情報がスムーズかつ迅速にやり取りができるよう考慮したものです。平時には本部内に設置されているネットワークを活用し簡単なオンライン会議などの会場に転用することも可能です。

日本赤十字社愛知県支部の災害対策室
日赤愛知県支部の建物がダメージを受けたり、災害支援の実施状況によっては、より強固な地盤にあり、交通アクセスも比較的良好な当院で支部の活動が展開されるほうが良いケースも多分に考えられるため、あらかじめ支部の災害対策本部室が設置されています。この部屋も当院の災害対策本部とweb会議で繋げることができます。

パーテーションで区切った小会議室
人数に合わせた使用ができるようにパーテーションで区切った小会議室が4室あります。
パーテーションの表面はホワイトボード仕様になっており、スペースを有効に使え、また記録しやすいようにしてあります。会議室の中の声は隣には聞こえにくいしっかりとしたパーテーションです。


平時の活用(市民講座・イベントなど)
平時には、地域の皆さまにお気軽にご参加いただける「市民公開講座」や「災害研修」、子どもたちでも参加できる防災・減災教育を含んだイベントなどを実施し、地域の皆さまに当センター棟を身近に感じていただければと考えております。
また、当センター棟は有事の際の避難場所ではないため、災害研修や防災・減災教育で学んだことが実際に活かせられるよう、地域の皆さまが平時から常に災害に対する意識を高めていただき、常に備えられるよう様々な活動に取り組んでまいります。

施設の設備について

各種通信設備 非常用自家発電機
緊急排水槽災害用仮説トイレ
し尿一時貯蓄留槽
地下水浄化システム
備蓄倉庫 スキルズラボ
日本赤十字豊田看護大学キャンパス

免震構造について

この建物は中間免震構造を採用しており、B1階を耐震構造、2階以上を免震構造として1階に各種の免震装置を据え付けています。 この地域は南海トラフ地震発生時には震度6弱程度の揺れ※が想定されていますが、その場合でも無傷で耐えられる設計になっています。
※あらゆる可能性を考慮した最大クラス

中間免震構造
建物の中間階に数種類の免震装置を取り付けています。上下に柱スパンが異なったり構造種別が異なったりする複雑な用途の建物の場合に用いられる構法です。

高減衰ゴム系積層ゴム支承
地震の揺れを抑えるブレーキの役割と、地震後に建物を元の位置に戻す役割。薄いゴムと鋼板を重ね合わせて作られています。

直動転がり支承
大きな揺れを防ぐ役割。鋼製ブロックとレールを十字型に組み合わせ、ブロック内部のベアリングとオイルの作用により揺れに応じて動作します。

オイルダンパー
建物の揺れを抑えるブレーキの役割。鋼管と鋼製の軸棒の間に粘り気のあるオイルが充填されています。

弾性すべり支承
エレベーターに横揺れが伝わらないようにする役割。薄いゴムと鋼板を重ね合わせた本体にテフロン加工されたすべり材を組み合わせています。

アクセス

日赤愛知災害管理センター棟へお越しの際には公共交通機関をご利用ください。

■地下鉄名城線  「八事日赤」駅下車  2番出口を出て徒歩約4分

※病院駐車場は外来患者さん用の駐車場となりますので、ご利用はお控えくださいますようお願いいたします。
※日赤愛知災害管理センター棟に隣接している駐車場は、関係者と有事の際に使用する駐車場となっておりますので、ご利用はお控えくださいますようお願いいたします。