放射線科概要

理念

【理念】

医療技術部放射線科は、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の理念に基づき、質の高い放射線技術の提供に努めます。

【私たちからのメッセージ】

当院は救急医療、高度医療、周産期医療、がん医療など、地域においては高度急性期医療施設としての役割を担うとともに、赤十字病院として災害医療や国際救援にも積極的に取り組んでいます。医療技術部放射線科は、当院の理念と活動方針に則り、患者さんにとって安全で質の高い放射線検査の提供に努めています。

救急医療、高度医療部門においは、救急撮影認定技師、X線CT認定技師、磁気共鳴(MR)専門技術者の主導による診断画像提供、そして血管撮影・インターベンション専門技師による血管内治療の支援を行っています。がん医療では、女性のマンモグラフィ撮影認定放射線技師により乳がんの早期発見に取り組むとともに、医学物理士、放射線治療専門診療放射線技師、放射線治療品質管理士の主導による放射線治療を実施しています。

放射線検査においては放射線被ばくを伴いますが、当院では医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)が設定した診断参考レベルに従って、適切な放射線量の設定を心がけています。特により高い放射線被ばくが懸念される血管内治療においては、全国循環器撮影研究会による被ばく線量低減推進施設の認定を受けており、常に被ばく低減に努めています。

赤十字の特色である災害救護部門においても、今までに国内災害救護ではのべ8名の技師が日赤救護班要員として災害現場に派遣されています。また国際救援においても、のべ6名が海外の災害現場、難民キャンプ、紛争地帯へ派遣されています。

高度医療が求められる地域社会から、資源に限りがあり柔軟な対応が求められる国外の災害現場まで、幅広い医療の場に対応できる技術力を持てるよう、私たちは日頃から努力しています。

スタッフ構成

診療放射線技師44名(うち女性技師15名)、事務職員5名、技術員3名で構成されています。患者さんに安心して検査・治療を受けていただくために協力して医療安全対策や知識・技術の向上に努めています。

業務内容

私たち放射線科は、3病棟地下1階「画像診断センター」を中心に<一般撮影><特殊撮影><核医学検査><放射線治療>の4部門体制にて業務を行っています。
部門内また部門間においての担当ローテンションを行いながら、広く放射線部門全般の知見を有した上に、専門性の高い検査を安全に提供することを目標として日々業務に取り組んでいます。

●一般撮影業務

一般にレントゲンと呼ばれているものです。当院では画像診断センター内に集約されています。検診などで撮影される胸部写真や骨折などの診断に用いられる骨の写真といった一般撮影装置、歯科で使用されるデンタル写真、パントモ撮影、乳房の撮影をするマンモグラフィ、骨粗鬆症の診断などに用いられる骨塩定量測定装置、消化管のバリウム検査やX線テレビを用いた検査や治療を行う透視検査装置などを設置しています。

●CT業務

CTとはComputed Tomographyの略で、コンピューター断層撮影のことを言います。

当院CT検査室では2管球2検出器を備えるDual Source CT(シーメンス社)2台と64multi-slice CT (FUJIFILM社)で外来・病棟患者さんのCT検査に対応しております。Dual Source CTは2つの異なるエネルギーのX線を利用して様々な有用な画像を取得できます。加えて極めて短い時間で撮影が可能なので、息止めの難しい方や小児の方でも検査ができます。また救急外来では専用の64列マルチスライスCT(日立)を導入し24時間体制で検査に対応しています。さらにX線CT認定技師の資格を持つ技師を配置することにより安全で質の高いCT検査を行っています。

●MR業務

MRI検査とは非常に強い磁場と電波を使い、人体の様々な断層面を撮像することができる検査です。近年の進歩は著しく、様々な画像をより高速で撮像することができるようになってきています。脳梗塞の早期発見だけでなく全身の多様な疾患の診断に有用な検査です。

当院MR検査室では4台の高磁場装置が稼動しており*、全身のあらゆる検査に対応しています。また夜間、休日の緊急検査にも対応しており、24時間365日、全身のMRI検査が可能です。

*2024年11月現在 装置老朽化により1台、新規装置へ更新工事中です。

血管撮影業務

血管撮影は造影剤を使用して体内の血管の形状や血液の流れを診断する検査であり、我々診療放射線技師だけでなく医師・看護師・臨床工学技士等の複数のスタッフで行われています。当院の血管撮影部門は心臓領域の心臓血管撮影室(2室)と心臓領域以外の全身用血管撮影室(2室)から構成されており、緊急を要する急性冠症候群、脳出血や脳梗塞などの診断や治療へも迅速に対応しています。

核医学検査業務

核医学検査は放射性同位元素を含んだ薬(放射性医薬品)を投与して、人体機能を利用して集まった目的の臓器から出る放射線を専用の装置(ガンマカメラ)で画像や数値にして診断します。現在、最新の半導体を用いた心臓専用装置や定量値を算出できるSPECT-CT装置を含めた3台でPET検査を除く全ての検査に対応しています。検査は心臓、脳、骨、呼吸器、消化器、腎尿路系、内分泌疾患などさまざまな病態や機能の診断が可能です。予約検査のみでなく業務時間内においては緊急検査も実施しています。また放射性医薬品を用いた放射線治療(内用療法)にも対応しており、甲状腺機能亢進症、残存甲状腺の破壊、骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌等に実施しています。

救急撮影業務

当院の年間の救急車の受け入れ台数は10,000件を超え、国内でもトップクラスの件数です。近年は画像診断の普及により、CTなどの検査は診断に欠かせないものとなっています。質の高い医療を提供するために、救急外来に隣接して一般撮影装置、CT装置、透視装置を備えた救急放射線があります。患者さんが24時間365日いつでも最善の医療が受けられるように、スタッフは24時間体制で検査を行っています。また脳や脊椎の診断に有用なMR検査にも24時間対応しています。

画像管理業務

放射線科の検査で作成された画像はすべてデジタルデータとして院内のサーバーに電子的に保管されます。診察時に患者さんの電子カルテ情報に基づいてサーバーから呼び出される画像が、患者さん本人のものであり、診断に適した条件で表示されるように高精細モニターを含めて管理しています。他の医療機関からお預かりした検査画像も必要に応じて保管しています。一方、当院から提供する画像DVDの作成も行っています。作成と確認にお時間を要することがありますが、迅速化に向けて改善を行っていきます。

放射線治療業務

放射線治療装置を用いてエックス線あるいは電子線を体の外から当てることにより、がんの治療を行います。高精度放射線治療センターには汎用性の高いリニアックと、より精度の高い放射線治療を可能にするトモセラピーが導入されており、患者さんの病状や治療の目的に合わせて使い分けています。

検査実績

検査項目 2023年度 2022年度 2021年度 2020年度
一般撮影 117165 119543 117848 106057
乳腺撮影 2484 2431 1406 1282
透視検査 3132 3538 3657 3230
CT 55488 55114 54101 50595
MRI 21388 22042 20498 19187
骨塩定量 3408 3206 2641 1930
核医学検査 3266 3412 3481 4350
血管撮影 534 598 521 543
心血管撮影 2409 2446 2582 2428
放射線治療 404 402 8246 9049

 〔単位:件〕