「どんな時にも決して救急患者を断らない」それが、当院の救命救急センターのポリシーです。年間取扱い救急患者数は30,000名以上(令和4年度実績)と、名古屋市内でトップレベルの実績を誇り、地域の救急医療の核としての使命を担っています。当センターの特長は、高度治療が可能な病床を備えるとともに全診療科の医師が救急に携わる「全科参加型」の救急医療を提供していることです。そのような中、最前線で重要な役割を担っているのが研修医です。軽症患者から重症患者まで幅広く診療に携わるとともにより多くの症例を経験することができます。救急医療の実力をつけるには最適な研修病院です。
当院では、救急外来のほか、ICU、CCU・SCU・HCU・NICUなど高度治療が可能な病床を備えております。急性期治療が必要な患者に対し、各診療科の医師・コメディカル、そして研修医がチーム医療で治療にあたります。また、最新の検査設備が整っており、高度急性期医療を支えています。研修医にとっては、最高の環境で高度急性期医療を学ぶことが可能です。
災害時の救護活動は、日本赤十字社の重要な使命の一つです。地震や台風などの自然災害や航空機墜落事故等の際には、被災者救援のため数多くの救護活動を行っています。救護班には研修医も加わる場合もあり、赤十字病院ならではの貴重な経験となっております。また、当院は愛知県災害拠点病院の指定を受けており、どのような状況下でも地域住民の生命を守る最後の砦としての設備を整備するとともにそのための訓練を実施しています。災害訓練にも研修医が積極的に参加し、一挙に押し寄せる傷病者のトリアージ、救急処置など本番さながらの訓練を行っております。
2011年度から導入した研修で、一定の選考基準を満たした希望者が、初期研修の自由選択期間を使って、海外の臨床病院で研修するというものです。将来の選択肢の幅を広げる良い機会になりますし、世界の医療や研修に触れることで、自分のスキルアップにもなります。初期研修で海外研修の機会がある病院は全国でも少なく、当院での研修は貴重なチャンスです。
当院の研修の目玉の一つが毎日の昼カンファレンス。最初の3ヶ月間は救急外来で診療にあたるための勉強をし、その後は、救急の他、一般臨床に必要な知識を上級医から教えていただいたり、お互いに症例を共有したり様々。また、毎週木曜日は、ER・GIMカンファレンスとして、「誰も教えてくれなかった診断学」の著者である野口総合内科部長の症例カンファレンスがあり、診断へのアプローチや緊急性の判断などを学ぶことができます。
年に3回、外国人講師による身体診察の仕方も実習形式で行っております。眼からウロコのワンポイントアドバイスをいただきました。毎日の診療でも英語で診療しなければいけない場面がありますが、また一味違った形で英語に触れるのも刺激になります。
研修ホールや、加藤化学記念カンファレンスホールという2つの大きなホールがあり 、そこで様々な講演会が随時開催されています 。研修医向けのレクチャーだけでなく、全医師を対象としたセミナーも多数あり、色々な考え方に触れることができます。また、名古屋市内で交通アクセスの良い立地なので、他院や他会場での講演会にも比較的気楽に参加することができ、お互いの研修の情報を交換したり、切磋琢磨したりしています。
当院は、災害拠点病院でもあり、また赤十字社の使命として、災害医療にも取り組んでいます。全病院を挙げての災害訓練では、研修医も最前線で参加し、救急隊や地元医師会の先生とともに、病院トリアージおよび院内での診療の訓練をしています。普段の救急外来や一般診療とは異なる緊張感の中、スキルアップの良い機会です。また、国際救援部もあり、関心のある研修医は、勉強会に出席するなど、将来の国際救援に向けて研鑽を積むことができます。
同機構による臨床研修評価は、「臨床研修病院の訪問調査を通して研修プログラムの改善、良い研修医の養成、すばらしい臨床研修指導医の育成、 プログラム責任者の評価、研修管理委員会・管理者へのフィードバックを行うことやこの第三者評価により研修プログラムの保証、臨床研修病院の質の改善・向上を促進することにより、国民が安心して受診できる病院、国民が求める良い医師を育てる研修プログラムを標準化させること」を目的として審査が行われます。当院は、令和5年6月5日に同機構による「臨床研修評価」の審査(更新訪問調査)を受審した結果、「認定(4年)」(認定期間:2023年8月1日から2027年7月31日までの4年間)の評価をいただきました。また、同機構からは、「研修医を育てる文化が病院全体に根付いており、充実した臨床研修の場を提供していると評価できる(抜粋)」との評価をいただきました。
今後も課題を一つひとつ着実に改善して、研修医はもとより地域からも高く評価をいただけるような臨床研修病院をめざしていきたいと思っています。