【バングラデシュ南部避難民保健医療支援】~避難開始から1年 赤十字は、救うことをつづける~

【バングラデシュ南部避難民保健医療支援】~避難開始から1年 赤十字は、救うことをつづける~

8月31日(金)、バングラデシュにおける避難民支援へ派遣される吉見祐輔医師の出発式、および同支援より帰国した佐藤友香理助産師の出迎え式を行いました。

2017年8月25日以降、ミャンマーから70万人以上がバングラデシュ南部の避難民キャンプに逃れており、地元住民を含むおよそ130万人が人道支援を必要としています。日本赤十字社は2017年9月に緊急救援医療チームを派遣して以降、継続して要員を派遣しています。2018年4月末からは保健医療支援活動へ移行し、バングラデシュ赤新月社と避難民ボランティアが中心となって避難民キャンプ内の仮設診療所を中心に診療や公衆衛生活動、母子保健活動を行っています。長期化が予想される状況をうけ日本赤十字社は2020年までの支援を決定しており、避難民と地元コミュニティの自助や共助、そしてレジリエンスの強化を目的とした活動を行っていく予定です。当院からも継続して職員の派遣を行っていますが、今回総合内科の吉見医師が約1か月派遣されることになり出発式を行いました。

吉見医師は出発式で、「1年が経過する今もまだ、先が見えない避難生活は続いています。日赤は、昨年12月より開設した診療所の運営を、バングラデシュ赤新月社のスタッフと避難民ボランティアへ移行する体制を目指しています。約1か月ではありますが、その中で日赤の医師として力になれるよう頑張ってまいります」と抱負を述べました。吉見医師は現地スタッフへの教育・指導、手順書やマニュアルの策定など、持続可能な診療所運営に向けた取り組みを行います。

避難民キャンプで生まれた子どもは1万6000人以上にのぼるといわれており、多くの妊産婦や子どもが支援を必要としています。日赤は助産師による妊産婦健診や授乳指導、新生児健診など母子保健医療活動を行っています。約1か月の活動を終えて帰国した佐藤助産師の出迎え式を行いました。
佐藤助産師は、「キャンプ地の推定妊婦数は、人口の3%にあたる2万から3万人と言われています。そのうち5人に4人は、医療者の適切な分娩介助を受けずに避難民テント内で出産している現状がありました。私は母子保健活動に携わる中で、妊婦健診で赤ちゃんの心音を聞いた後、現地語で「フワツマゴマセイ(赤ちゃんは元気ですよ)」とお母さんに伝え、少しでも不安を軽減できるよう心がけました。その時に浮かべた彼女たちの笑顔が今でも強く印象に残っています。この診療所が、女性が安らげる場所になれることを望みます」と述べました。

※国際赤十字では、政治的・民族的背景および避難されている方々の多様性に配慮し、『ロヒンギャ』という表現を使用しないこととしています。