地域医療連携

がん薬薬連携

がん薬物療法は、病院のみで完結するものではなく、地域で切れ目のない連携が重要です。お薬を共通言語とした保険薬局との情報共有のため、当院では以下のような取り組みを行っています:

  • 外来化学療法初回面談時にお薬手帳にレジメンシールを貼付
  • 点滴化学療法施行の患者さんについて、副作用状況や対応を記した文書を作成して保険薬局に情報提供
  • 内服薬初回説明時に、説明した内容、説明時点での症状の有無、薬剤使用目的などを記した文書を作成し、保険薬局に情報提供

年1回、薬薬連携に関する勉強会を開催
何か問題点があれば、保険薬局から当院へフィードバックすることで、患者さんの次回診療に反映することができます。これらの取り組みにより、安全ながん薬物療法のサポートし、地域で安心できるがん薬物療法を継続して提供することに努めています。

手術・検査前中止薬管理

手術や内視鏡、検査の前には、必要に応じて休薬(一時的に服用を中止すること)をお願いすることがあり、患者さんが服用しているお薬、市販薬、サプリメントなどがそれらに該当しないか確認することが必要です。
当院では、入院前の外来で薬剤師が休薬を必要とする薬を服用していないか確認していますが、中止すべき薬を継続したまま入院され、手術や検査が延期になる事例があります。さらに、入院までに当院以外の医療機関を受診され、新たに薬が処方される場合もあるため、患者さんには受診される医療機関や保険薬局で、面談時にお渡したパンフレットを見せていただくよう説明しています。中止薬管理では、手術や検査の予定を他の医療機関の方々にも共有していただくことが重要です。
薬剤部では、2024年12月より外来での薬剤師面談でお薬手帳に専用のシールを貼付し、地域の保険薬局へ入院の情報提供と中止薬確認のご協力をお願いする取り組みを開始しました。患者さんが安全に治療を受けていただくため、中止薬管理にも地域との連携を進めていきます。

問い合わせ簡素化プロトコル

疑義照会は薬剤師法に基づく重要な業務ですが、一包化や粉砕調剤、規格変更などをはじめとする形式的な疑義照会も多く、それらが患者の待ち時間増加や、医師・保険薬剤師の業務負担増加の一因となっています。
当院では2025年1月より問い合わせ簡素化プロトコルを導入します。医療機関と保険薬局の合意の下に、形式的な疑義照会を簡素化することで、患者待ち時間の短縮と医師・保険薬剤師双方の業務負担軽減を図ります。
また、保険薬局から送付される処方修正報告書を当院薬剤師が確認し、処方修正代行プロトコルに基づいて処方オーダーを修正することで、診療録と実際処方内容との整合性を保ち、修正が必要な処方が繰り返されることを防いでいきます。
このように便利な問い合わせ簡素化プロトコルですが、プロトコルを逸脱した処方修正が問題点として挙げられています。処方修正内容をモニタリングするなかで得られるプロトコル誤用事例を集め、保険薬局と共有して適切な運用の推進を図っていきます。