薬剤部は日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の理念に基づき、患者さんを中心とした医療の質の向上に向けた医薬品の安全管理と適正使用に努めます。
当院は、救急医療、高度医療、がん医療そして災害医療を中心とした地域の中核病院です。また、医療の質と安全について国際基準を目指すため、2018年に国際的な病院機能評価であるJCI(Joint Commission International)の認証を受け、2021年1月に認証更新しました。当院のホスピタルミッションのひとつである「 医療の質と安全とサービスでトップレベルの病院」を目指す上で重要な評価であり、患者さんの安心・安全を最優先に考え、医療の質の向上を目指していきます。
さて、薬剤師の業務は、「対物業務」から「対人業務」へと変化が加速しています。2020年9月、改正薬機法が公布され、保険薬局に対しては、調剤業務を中心とした「対物業務」から服薬指導や薬物療法への関与など「対人業務」の充実化を、病院薬剤師には、病棟業務の充実化に加え、地域の医療機関や薬局との連携強化が求められました。さらに、医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアリングの推進について議論が進められ、2022年4月の診療報酬改定では、薬剤師業務に様々な報酬が設定されてきました。国の薬剤師に対する期待の表れとも言えますが、同時に、将来の薬剤師供給過剰が予測され、薬剤師に対する「質」向上が強く求められています。「対物業務」は0402通知により、非薬剤師の活用が進み、将来的にはロボット化されていくことが想像できますが、薬剤師として生き残る、勝ち残るにはスキルアップして職能を拡大し、世間から認められる薬剤師にならなければならないと思います。
では、スキルアップするにはどうしたらよいか、教科書や講習会で得た知識は、そのままでは役にたちません。医師、看護師や他のスタッフと協働する、患者に適切な医療を提供する医療スタッフの一員としてベッドサイドで活動することでスキルは定着します。
当薬剤部は、積極的な病棟薬剤業務を展開し、別項で紹介する各分野の専門・認定薬剤師が、組織横断的なチーム医療の中核を担う役割を果たしています。日本医療薬学会が認定する医療薬学専門薬剤師、がん専門薬剤師等が在籍し、薬物療法専門薬剤師研修認定施設であり、スキルアップを目指す薬剤師を支援する環境も整っています。また、医療安全推進活動や手術室、外来診療部等での医薬品管理、先端の医薬品物流管理システムを活用した適正な在庫管理等、薬剤師が率先的に牽引する場面が数多くあります。その他、災害医療においても危機意識をもちつつ活発な取り組みを展開しています。
最後に、デジタル化が進むといっても、医療には人の温かみが必要です。AIを駆使して業務を効率化したとしても結局は人です。働き方や考え方を変え、能率よく働きながら休むときは休む。スタッフが最大のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、高い生産性と付加価値を生み出す働き方を進めていきたいと考えています。