医薬品安全課は、医療安全推進室と協働し医薬品及び薬剤関連業務に関わる安全確保に努めています。
医薬品の使用に際してはそれに伴う最新の情報が不可欠です。常時、2名前後の薬剤師を配置してくすりに関する情報を収集、整理、保管、評価、提供し、より質の高い薬物治療が行なえるようサポートしています。これらの業務は、病棟における服薬指導等の薬剤関連業務において最も基礎となるものです。手術・検査支援センター(PAC)での業務、院内の医薬品に関する情報(電子カルテに展開する医薬品マスターや処方チェックデータ)を全て集約し、PMDAへの副作用報告を行っています。
ペイシェントセイフティーを着実にすすめるツールとして、病院情報システム(電子カルテ)で医薬品の使用量、相互作用(飲み合わせ)などを自動でチェックしエラーメッセージを表示します。チェック状況は医薬品情報室でオンタイムに確認できます。先進の調剤機器の導入・運用を、ソフト面で迅速かつ適切な支援を行い、スピーディーで安全な調剤を実現するなど、IT技術の積極的な活用により医療の安全に寄与しています。
薬剤業務課は、国際的な医療機能評価機構 JCI (Joint Commission International)基準にしたがった薬剤師教育および医薬品安全管理業務を遂行します。
6年制薬学教育制度下の薬学生に対して、医療の現場における実務実習スケジュールの管理と教育的指導を行います。薬学生の皆さんが充実した実習生活を送れるようにサポートします。
新人薬剤師教育については評価リストを用いて到達度を確認し、薬剤師としての技術・知識を習得するサポートを行います。部内勉強会の実施および病棟専任薬剤師と医薬品情報室の薬剤師がカンファレンスを行い、情報を共有するとともに薬剤師全員の知識と技能の向上を図ります。
院内に存在するすべての医薬品の安全性(リコール対応、緊急使用の対応、温湿度管理、期限管理)を管理します。電子カルテから病棟薬剤師の記録を抽出し、適切に診療記録が残せているかを確認します。また、病棟において新たな業務を展開する際に、計画・周知・実行・評価・修正を行います。
おくすり相談室では薬の飲み合わせや副作用、服用方法をはじめ患者さんの疑問にお答えするほか、喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者さんへの吸入薬の指導、小児の成長ホルモン自己注射の指導、がん患者さんへの内服抗がん剤・オピオイドの服薬指導などを行っています。特に吸入薬、オピオイドに関しては、次回外来診察前に2回目の手技確認や指導を行っています。さらに、オピオイドの服薬状況を電話連絡により確認し、主治医へフィードバックしています。内服抗がん剤では服用方法・スケジュールを分かりやすく説明することで、飲み間違いによる重大な副作用を防ぐよう努めています。これらにより、治療効果を落とすことなく副作用への対応ができる体制となっています。
調剤課では、外来(院外処方箋発行率:73%程度)・入院患者さんの処方調剤、及び外来患者さんの投薬業務を行っています。処方オーダーは電子カルテと薬剤師部門システムで禁忌等のチェックを受けた後、薬剤師が取り込み時に薬剤の用法用量や相互作用について処方監査を行い、必要に応じて処方医に疑義照会したのちに処方を受け付けます。調剤は並行調剤で行い、調剤後の監査は調剤者以外の2名の薬剤師で行います(ダブルチェック)。特に注意が必要な医薬品は、ヒートのGS1標準バーコードをPDAで読み取る認証システムを使用しています。これにより安全で過誤のないストレスフリーの調剤に努めています。 外来投薬時には服薬指導実施率100%を目標に指導を行い、医薬品に関する質問にお答えします。併設したおくすり相談室においては、オピオイド、吸入薬の指導等も行っています。 救急棟エリアにあるサテライトファーマシーでは、救急外来受診後に帰宅される患者さんの調剤・投薬を行います。当院では輸血製剤管理を薬剤部が行っており、輸血製剤の発注、納品、保管、払出業務を通じて適正な輸血療法を支援しています。
注射薬を、薬剤師が直接患者さんに使用することはありません。薬剤部から病棟に薬が届いた後、医師や看護師が患者さんに使用します。当院では、いつも正しく安全に薬を届けるため、24時間365日を通じて注射薬自動払い出し装置を活用し、患者別トレイに1回分ずつ医薬品をセットして病棟へ供給しています。注射処方箋で用法用量、相互作用、投与速度や配合変化等について、処方内容が適切かどうかを確認した後に調剤を行います。処方せんには腎機能や肝機能の検査値を表示しており、カルテを確認しながら必要に応じて処方医に疑義照会を行い、用法用量や薬剤の変更など、適切な投与方法を提案します。また、毒薬、向精神薬、特定生物由来製剤等の管理には携帯情報端末PDAを用いたバーコードの認証システムを導入し、効率化を図りました。さらに、医薬品流通システム導入により、温度管理が必要な高額医薬品及び毒薬の廃棄コストの削減、トレーサビリティを確保した医薬品の安全供給を可能としています。
製剤課は、無菌調製業務、院内製剤調製業務、レジメンに基づいた抗がん剤オーダの確認・監査・調製を行っています。入院・外来すべての注射抗がん剤指示は投与前に2名の薬剤師でレジメン確認・監査をし、疑義照会を行ったのち投与することで患者さんの安全を担保しています。
近年、抗がん剤薬物療法における曝露対策の認識は非常に高くなっています。当院は入院・外来患者さんの抗がん剤調製をすべて薬剤師が無菌的に行い、医療スタッフの抗がん剤曝露のリスク低減を図っています。また揮発性の高い抗がん剤については、閉鎖式器具を使用し調製者への曝露対策も十分配慮を行っています。無菌調製業務としては入院患者さんの中心静脈栄養(TPN)の調製を行い、抗がん剤調製とともに365日対応しています。特に新生児ICU(NICU)の無菌調製は患者さんの状態を考慮し、投与直前のデータをもとにオーダされた処方内容を調製しています。
院内製剤は検査、診断、治療に必要であるが市販されていない製剤を専門的知識・技術を駆使して調製し、その治療効果の確認を行っています。
薬剤管理課は医薬品の品質管理、また適正な在庫管理と医療現場への円滑な供給を担う部署です。医薬品は、製造、流通から医療現場へ、そして患者さんに使用される一連の過程において、その品質が保証されてなくてはなりません。温度管理や使用期限の監視だけでなく、偽造品や粗悪品の流入阻止を目的としたセキュリティの担保、リコール時に特定の医薬品の使用歴について遡って調査できる体制の維持も重要です。その上で、医療現場へ医薬品が滞りなく供給されるよう適正な在庫管理を行っています。
華々しさはありませんが、医療安全の確保において重要な役割を担う部署であると言えます。