リハビリテーション専門職の卒後教育プログラムは、医師のようなシステム構築はなされておらず、各施設が個々に設定しているのが現状です。そこで、リハビリテーション分野においては、卒後教育に主眼を置いた制度“レジデント制度”が2013年度より一部の病院で開始されました。この制度は、全国でもまだ十分に普及はされておりません。
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院では、東海地方で初めて、リハビリテーション領域のレジデント制度を導入いたします(2025年度の入職者より開始)。
現在、卒後に急性期の重篤かつ幅広い疾患を経験し、高度なリスク管理を学ぶ経験が得られるのは数%の療法士です。今後の高齢化社会において、回復期・在宅等での療法士の需要はさらに高くなる可能性がありますが、急性期医療機関におけるリスク管理の経験は必ず必要となります。できる限り多くの療法士が経験を積めるよう、本制度では2年間かけて基礎的な能力を養うことを目的としています。レジデント期間(2年間)の修了後は、様々な分野で即戦力として活躍できる人材となることを目指しています。
【レジデント制度の理念】
1.若手療法士に良好な教育の場を提供すること。
2.急性期医療において、多くの臨床経験を積み、リハビリテーションにおけるリスク管理を学び、
メンター制度によるクリニカルリーズニングの技術を高め、どのような患者に対しても質の高い
リハビリテーションが提供できる能力を備えた人材を育成すること。
〇プログラム責任者
永田英貴(代表課長・内部障害理学療法課長)
【院内研修会・レクチャー】 | |||
1年目 | <4月> | 医療安全(基礎) | 感染対策(基礎) |
医療ガス・薬剤 | BLS | ||
高齢者の基礎知識 | 吸引技術 | ||
ストレスコーピング | フィジカルアセスメント①(基礎) | ||
NST・経管栄養 | 褥瘡予防 | ||
情報管理 | 移乗動作 | ||
<8月> | フィジカルアセスメント②(基礎) | ||
<11月> | RCAの基礎 | 人工呼吸器管理① | |
2年目 | <9月> | フィジカルアセスメント③ | |
<12月> | 組織マネジメント 人工呼吸器管理② |
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<不定期> | 医学的管理物の取り扱い | ||
医療倫理 | |||
ACLS | |||
臨床研究方法論 など | |||
<通年> | 科内勉強会(症例検討会・勉強会) 3回/週 | ||
医療連携会等(研修会) 1回/1-2ヶ月 | |||
院外研修会 レジデント研修会 1回/月 日本赤十字リハビリテーション研修会 1回/年 協会主催・共催の研修会など 適宜 |
【学術活動(目標)】 | |
症例報告(院内、院外) | 2回/年 以上 |
学会発表 | 3回/2年 以上 |
多施設共同研究への関与 | |
論文投稿(希望者) |
1.医療安全に配慮した行動がとれること。
2.患者さんおよびスタッフと良好な関係が構築できること。
3.知識、技術、人格ともに優れた理学療法士となること。
4.問題点の発見と対応が行えること。
5.他職種と連携し、協働してチーム医療が遂行できること。
6.学んだ知見を外部へ発信できること。