地域がん診療連携拠点病院とは、全国どこでも質の高い医療を提供できることを目標とし、各都道府県のがん診療の連携・支援の拠点とするべく厚生労働大臣が指定を行った病院のことです。当院は2008年に指定を受け、以降4年に1回の認定更新を受けています。
2021年における癌の手術件数は約1,000件で、特に鏡視下手術、ロボット手術などの低侵襲手術に力をいれています。ロボット支援下手術は前立腺癌、腎癌、膀胱癌、胃癌、大腸癌、縦隔腫瘍、肺癌などに導入し年間約200件程度施行しています。
病理診断は常勤医4名の体制をとり、迅速病理診断、剖検も常に対応可能となっています。
機器2台体制で最新鋭の機器の導入に尽力しています。
最新の治療に対応しており、2020年7月には日本国内で2番目にシンクロニー動体追尾システムを搭載したラディザクトを導入しました。2023年上半期にもう1台も最新の機器に更新する予定です。
2021年度に外来化学療法センターで実施した件数は約8,400件で、日常生活と治療の両立のため、就労に関する情報提供やリンパ浮腫外来での定期的なケアなど様々な取り組みを行っています。
薬物療法に際しては抗がん剤曝露対策、B型肝炎再活性化防止対策、免疫チェックポイント阻害薬の副作用を早期発見するための院内指針運用など医療安全の確保を推進しています。
当院には15名以上の多職種多人数から構成される緩和ケアチームがあり、痛みを含む様々な症状の除去、苦痛の緩和を行っています。
手術や薬物療法、放射線治療を受ける患者が痛みなどの苦痛に悩まされる時、症状のコントロールのため緩和ケアチームも診療を行います。主治医と協力し、迅速かつ的確に苦痛を緩和するよう努めています。
当院は1990年に地域に先駆け病診連携システム専用部門を設置し、近隣の医療機関との連携を深めてきました。現在、登録医数は1,900名を超え、年間30回を超える症例検討会や研修会等を通して顔の見える関係を構築しています。そして電子カルテ閲覧システムにより、連携施設間での臨床情報の共有にも努めています。
また5大がんに加え前立腺癌のがん地域連携パスを運用し、過去2年は乳がんパスを筆頭に年間100件を超える運用を行っています。
悪性疾患の多くはセカンドオピニオンも受け付けています(一部オンライン対応可能)。当院以外の医療機関に受診されている患者さんに対し、その主治医の診断内容や治療方針について、当院の専門医が意見や助言、判断を提供します。
2021年度のがん相談支援センターにおけるがん相談件数は約800件でした。看護師、薬剤師、管理栄養士、MSWなど多職種で構成されるがん相談サポートチームと協働し、がん患者と家族、地域住民に対して相談や就労支援、在宅支援等を行っています。
部位別や5大がんステージ別症例数、5年生存率(国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターの5年生存率集計報告書を転載)をHPに掲載し情報提供を行っています。また院内のがん登録中級者が県内の研修会の研修指導協力者を担当する等、がん登録に関する教育にも力を入れており、地域のがん登録の精度向上にも努めています。
医療に係る安全管理体制として、医療安全推進室を設置し、医師である副院長を室長、副室長には医療安全管理者を配置しています。メンバーは専従の看護師2名、事務員2名、専任の薬剤師1名で構成され、安全で安心な医療を提供するため、医療安全研修・リスクマネージャーの養成・ヒューマンエラーに強い診療システムの作成を中心に活動しています。また高難度新規医療技術を提供する際は、院内の多職種による高難度新規医療技術評価委員会にて検討・承認の後、患者および家族への十分な説明を行い、実施しています。
医療の質向上を目指した取り組みとして、毎月1回、多診療科・多職種で症例検討を行う「キャンサーボード」と「倫理コンサルテーション」を実施しています。がんの治療に際し、治療方針検討が必要な症例、サポーティブケアが必要となる症例、臨床倫理・社会的な問題のある症例などを対象として合同カンファレンスを行います。
2018年3月には、「患者安全」と「医療の質向上」を継続的に促進する組織の醸成を目的としたアメリカの医療分野における第三者評価機関「The Joint Commission」の国際部門が行うJoint Commission International(JCI)の認証を東海3県で初めて取得しました。以降3年ごとに更新が必要とされ、2021年1月には第2回目の認証を受けています。