抗がん剤治療というと、長期期間の入院、そしてつらい副作用というイメージをお持ちではありませんか?抗がん剤はがん細胞の増殖を抑えたり、消滅させるために作られていますが、正常な細胞の機能もある程度傷害することがあるため、抗がん剤以外のお薬に比べて副作用が出やすいという事実は否定できません。
しかし、吐き気や白血球減少といった抗がん剤の副作用を抑える優れた薬(支持薬といいます)が続々と登場してきたことから、より安全に外来で治療を行うことが可能になりました。また、がん細胞のみが持っている異常を認識し、正常細胞への影響が少ないと考えられる「分子標的薬」という新しい抗がん剤の多くが内服薬として開発されていることも外来通院での治療が拡がった要因の一つとして考えられます。
自宅での日常生活を送りながら通院治療をすることは、入院治療と比較し、体力を保ちやすくなるとともに、自宅での生活という精神的な安らぎが得られ、さらには社会生活を送りながら治療を受けたいという社会的ニーズを満たしており、可能な限り外来通院で治療を行うことが一般的になってきました。
当院では、より安全に外来通院治療を受けていただけるよう、点滴薬、内服薬を問わず全ての抗がん剤において、がん専門薬剤師によりお薬の説明をさせていただいております。お薬のことで気になることがあればご相談ください。
外来での抗がん剤治療を希望されても、すべての施設において可能というわけではありません。なぜならば、今まで入院で行われていた治療を外来通院という短い時間で治療を行うためには、それに関わるスタッフの高度な専門知識と技術が要求されます。当院では臨床腫瘍学会指導医、がん薬物療法専門医をはじめとした高度の知識を有する医師、看護師、薬剤師によるチーム医療により、それを可能にしています。また、乳がん、胃がん、大腸がん、肺がん、悪性リンパ腫などの血液がん、腎がん、婦人科がんなど、ほとんどのがん種に対応できる体制を整えています。
多くの臨床試験、研究によって抗がん剤治療は日々進歩してきています。当院では、がん化学療法検討委員会というがんの薬物療法の専門医、薬剤師、看護師などから組織される院内組織の中で、各診療科の専門家が、診療科を超えて、最新のがん治療の情報に基づいて、議論し、協力しあうことにより、最も信頼度の高い治療を提供することが可能となっています。
・専従医師1名、看護師:10名、薬剤師:6名(5名:無菌調剤室)
・リクライニングシート24床、ベッド14床(計38床)
・スタッフの専門性
がん薬物療法専門医 1名
がん専門薬剤師 3名
がん化学療法看護認定看護師 2名
がん性疼痛看護認定看護師 1名
医療リンパドレナージセラピスト 4名