国際救援・国内救護活動

国際医療救援

当院は国際医療救援部を有し、同じ志を持つ他の医療スタッフと交流し切磋琢磨できることが特徴です。希望者は所定の研修を受けた後に国際救援・開発協力要員として登録されます。普段は院内で通常業務を行っておりますが、世界の赤十字ネットワークを通して医療支援の要請を受けると、緊急支援ユニット(ERU)の薬剤師/メディカルロジスティシャンとして派遣されます。
海外での薬剤師の仕事は、調剤、患者への服薬指導はもちろん、現地スタッフへの薬局業務の指導、医師への処方提案、他の医療スタッフへの薬剤指導、医薬品や医療資機材の購入から管理と幅広く薬剤師が活躍します。海外の慣れない環境の中で、高いレベルが求められる現地での活動は厳しいものではありますが、やり遂げた後には高い達成感と薬剤師としての自信につながります。

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日赤救護班要員

赤十字救護班は医師、看護師、薬剤師、事務職員を含めた6名から編成され、災害規模や被災地のニーズに合わせ活動しています。薬剤師が救護班で活動するには、院内で所定の研修を終了し、救護班名簿に登録される必要があります。被災地での活動期間は原則3日間と短いですが、朝から晩まで活動するため体力も必要です。救護班での薬剤師の活動は、被災地の薬剤師と共同し、医薬品の管理、調剤業務、服薬指導、処方支援などが中心です。2018年に起きた西日本豪雨災害では、当院からも薬剤師が派遣され被災者への服薬指導や処方支援に携わりました。日々培った医薬品に関する幅広い知識や経験が、多くの被災者への支援に繋がった時に大きなやりがいを感じました。

DMAT

DMAT(Disaster Medical Assistance Team)とは、医師、看護師、業務調整員(その他医療職及び事務職員)で構成され、大規模災害や多傷病者が発生した事故などの現場で活動できる専門的な医療チームのことです。当院では、災害急性期の訓練を受けた薬剤師がDMATに所属しています。
普段は災害時医薬品の管理、各種マニュアル作成、災害訓練などを行っていますが、緊急要請時は現場活動や後方支援などを行います。また、東日本大震災では日赤救護班として病院支援や救護所活動を、熊本地震ではDMATとして災害拠点本部活動を行いました。
最近では、過去の震災の経験にもとづいて災害時に救護班の一員として薬剤師を派遣する施設が多く、医薬品に関する幅広い知識を有する薬剤師だからこそ貢献できる部分が多くあります。

災害への備え

当院は、地域中核の災害拠点病院として中心的な役割を担っており、また赤十字の使命とされる災害時における医療救護活動にも力を入れています、薬剤部としても、「災害に強い薬剤部」を目標に掲げて積極的に取り組んでいます。
院内全体災害訓練に参加し、トリアージエリアを含む赤黄緑エリアに薬剤師を派遣しています。また救護班要員の講習・訓練に参加し、他職種と泊まり込みで災害シミュレーションを実践しお互いの理解を深めています。
大混乱の災害時は指揮系統がどれだけ機能しているかが肝心です。時間外におけるアクションシートや指揮系統図の見直しを随時行い、優先的に行動すべき項目を共通認識することで経歴問わず新人薬剤師が当直中に被災した場合でも初動対応ができるようになっています。
このように、いつ来るかわからない大規模災害に備えてどれだけ基盤を構築できているかが勝負となるため、日頃から問題点を抽出し改善しています。そして薬剤部で定期的に災害シミュレーション実践や勉強会をすることで部内全員が災害に対する理解を深めることができています。