
入職10年目の枝光です。2012年に大学を卒業し、当院に就職しました。生体検査課に配属され、現在に至るまで主に超音波検査に携わっています。2021年4月に組織の体制変更があり、現在は新設された超音波診断課に所属しています。
超音波検査については、1年目の秋頃から患者さんの検査を担当するようになり、冬には新人ながら周囲の大きなサポートもあり、超音波検査に関する学会で演題を発表することができました。この1年目の学会発表の経験は大きく、これまで私は人前で話すことが苦手と思っていましたが、苦手意識が薄まり、その後も学会発表を行うことができました。また、昨年度(2020年度)は院外のセミナーで講師として話をする機会をいただくこともできました。無事に講師を務めることができ、これまでの学会発表の経験が活きていると実感しました。以前の私なら違っていたかもしれませんし、そもそも講師の依頼もなかったかもしれません。自身のキャリアを活かすことができ、臨床検査の質の向上に、微力ながらも自分なりの貢献ができたのではないかと思います。
4年目には1つ目の専門資格である血管診療技師を取得しました。資格取得のためには多大な時間と労力が必要ですが、その分、合格したときの達成感はこの上ないものがあります。また、専門資格の取得後には「自分が出した検査結果は、関わる方々に大きな影響を及ぼす」ことをより一層感じるようになり、自己研鑽の大切さを日々痛感しています。
5年目、6年目と続けて超音波検査士の血管領域、循環器領域を取得しました。超音波検査士の取得は、自己学習だけでなく、当院ですでに資格を取得している先輩や診療科の先生方からの助言をいただけたことが、取得できた大きな要因の一つだったと思います。
その後、心電図検定1級を取得しました。心電図は生理検査において基本の業務となりますが、新人の頃から苦手意識があり、踏み込んだ勉強を後回しにしていました。今後も心電図の知識は必要であり、努力もせずに高度な理解に達するほど甘くはありません。7年目にして一念発起し、合格することができ、確実にステップアップができたと感じました。
これまでもそうでしたが、臨床検査技師として働いている限りは、特殊な症例や様々な因子が絡む難解な症例に遭遇する可能性があります。その時には、病態を正しく理解し、精度の高い検査結果を提供できるよう、今後も自己研鑽を継続し、医療に貢献していきたいと思っています。
入職8年目の寺本です。私は、2014年に大学を卒業し当院に就職しました。私が就職した頃は、新人技師のローテーションが行われており、私は、入職時は血液HLA検査係に配属され、その後、2年目から3年目の間に一般検査、生化学検査、救急検査、微生物検査、生体検査、病理検査と、すべての部署を経験しました。
ローテーションで所属した血液HLA検査係においては、当時、血液検査室で行っていた血小板偽低値に関する検討を学会で発表することができました。私の初めての学会発表です。ローテーション終盤の3年目には、多くの分野を経験した強みを生かして、当院においてまだ取得者がいなかった緊急臨床検査士を取得しました。翌年以降は、自身の経験を活かすため、若手技師の主導による緊急臨床検査士の資格取得支援活動を展開しました。この活動は後輩によって引き継がれ、現在では、若手技師のキャリアアップの登竜門の一つとなっています。
4年目より、現在所属する微生物検査係に配属となりました。5年目に2級臨床微生物検査士を取得し、翌年には、後輩の2級臨床微生物検査士の資格取得支援活動を行いました。5年目、6年目には微生物検査に関する検討を愛知県医学検査学会で発表し、6年目の発表では学術奨励賞をいただくことができました。7年目には、6年目で発表した内容を論文として発表しました。また、日本臨床微生物学会総会・学術集会においては微生物検査室での新たな検討について発表し、現在、こちらも論文として執筆している最中です。
8年目となった現在は、微生物検査のスペシャリストを目指して、認定臨床微生物検査技師の資格を取得するべく日々精進しています。諸先輩方に比べ、専門分野を極め始める時期は遅くなりましたが、若手の時期に当検査室のすべての分野の検査に触れることができたのは非常に貴重な機会であったと思います。他分野の検査の経験に基づく検査結果や症例の理解は、今後の臨床検査技師人生において役立つものと自負しております。
~質の高い検査を未来に繋ぐ~
当科では、多くの若手技師が学会発表、論文発表、資格試験取得に向けて日々精進しています。教育学術委員会によるサポート体制も年々充実し、若手時代にキャリアを積んだ技師の多くは、検査室の質の向上や改善に大きく貢献し、愛知県臨床検査技師会の班員として活躍する技師も多く在籍しています。
【若手技師が目指すキャリアアップ】
【資格取得支援】
日本臨床検査同学院主催の緊急臨床検査士試験や二級臨床検査士試験は若手技師の登竜門となる試験で毎年多くの技師が受験しています。当院では緊急臨床検査士資格を取得した技師が教育担当となり、模擬の筆記試験や実技試験を実施するなど、受験者をサポートしています。合格した技師は翌年の教育担当者となって次の受験者をサポートする流れとなっています。近年、この教育システムが上手く機能し、直近5年で8名(合格率89%:全国平均約70%)の合格者を輩出しています。二級臨床検査士資格についても資格取得者が受験者を積極的にサポートしています。
【若手技師主体の勉強会】
2020年度に新しい試みとして、新人技師を対象にR-CPC(Reversed Clinicopathological conference)をテーマにした勉強会を毎週開催しました。緊急臨床検査士資格を取得した若手技師が講師を輪番で担当し、1年間継続して行いました。新人技師は多くの症例に触れ、検査データを読む力を養うことができます。