もしかして…?と感じていませんか。
お風呂に入った時、股のあたりでピンポン玉のようなものに触れたり、日中、股の間に何かが挟まっているような違和感を覚えたり…。もし、そんな経験に心当たりがあるなら、それは「骨盤臓器脱(こつばんぞうきだつ)」のサインかもしれません。
誰にも相談できず、一人で不安を抱えていらっしゃるかもしれませんが、約10人に1人はなると言われているくらい、決して珍しいことではないのです。
骨盤臓器脱を理解する上で、最も大切なのは「骨盤底筋(こつばんていきん)」です。
骨盤の底には、筋肉や靭帯がハンモックのように張り巡らされており、その上に子宮や膀胱、直腸といった大切な臓器が乗っています。この「臓器を支えるハンモック」が骨盤底筋です。肛門や尿道、膣をきゅっと締める役割も担っています。
骨盤臓器脱とは、このハンモックの役割を果たす骨盤底筋が、様々な原因でゆるんでしまうことで、支えられていた臓器が本来の位置から下がり、膣から外に出てきてしまう病気です。
下がってくる臓器によって、呼び名が変わりますが、原因はどれも「骨盤底筋のゆるみ」にあります。
2.1. 体に現れる違和感や見た目の変化
☆重力の影響で臓器が下がりやすくなるため、一日中立ち仕事をしていた後や、夕方になると特に強く感じられる傾向があります。
・股の間に何かが挟まっているような違和感がある。
・お風呂に入った時などに、膣からピンポン玉のような丸いものに触れる。
・下腹部に何かが下がってくるような、引っ張られるような感覚がある。
・症状が進行すると、下がった部分が下着にこすれて出血することがある。
2.2. おしっこの悩み
膀胱が下がってくることで、排尿に関するトラブルが起こりやすくなります。
・トイレが近くなる(頻尿)。
・尿が出にくい、または出し終わってもスッキリしない(排尿困難)。
・急に強い尿意を感じ、トイレまで間に合わずに漏れてしまうことがある(切迫性尿失禁)。
2.3. 便の悩みやその他の不快感
排尿だけでなく、排便や全身の不快感につながることもあります。
・便が出にくくなる(排便困難)。
・腰痛や、お腹がずっしりと重い感じがする。



この病気の直接的な原因は、これまでお話ししてきた通り「骨盤底筋が弱くなること」です。そして、その引き金となる要因は、一つではなく複数あります。
骨盤の底には、子宮や膀胱、直腸などの臓器を支える「骨盤底筋」という筋肉や色々な「靱帯」があります。出産や加齢によって、これらの支えが弱くなると、臓器が下がってきてしまいます。
| 【なぜ起こるの?】 |
| ・原因は骨盤の底で臓器を支える「骨盤底筋」や「靱帯」の衰え ・妊娠、出産による骨盤底筋やそれを支えるじん帯・神経が損傷を受けるため ・加齢・閉経による女性ホルモンの低下や加齢による全体的な筋力低下のため ・腹圧がかかる生活習慣(肥満、慢性便秘、喘息、長時間の立ち仕事など) |
単に下がってしまった臓器を元に戻すだけでなく、排尿や排便、そして快適な日常生活を送るための体の仕組みを整え、生活の質(QOL)を良くすることが治療の大きな目的です。
| 【治療の目的】 |
| ・臓器を元に戻すだけでなく、排尿や排便の仕組みを整えること ・快適な日常生活を取り戻し、生活の質(QOL)を良くすること |
4.1手術について
主な手術療法の比較
それぞれに特徴があり、患者さんの状態に合わせて選択します。
| 手術方法 | 特徴 |
| ①腹腔鏡下仙骨膣固定術(LSC手術) | お腹の小さな穴からメッシュで膣を固定。再発率が低い。 |
| ②膣式子宮全摘術+前後膣壁形成術 | 膣から子宮を摘出し、下がった膣の壁を縫い縮めて補強。古くからある手術。 |
| ③膣閉鎖術 | 膣の入り口を縫い合わせる。手術時間が短く、体への負担が非常に軽い。 |
①②③は当院で行います。
| ④経膣メッシュ手術(TVM手術) | 膣からメッシュを挿入し臓器を補強。 |
| ⑤ロボット支援下仙骨膣固定術(RSC手術) | LSCを支援ロボットで行う。より精密で体への負担がさらに軽い。 |
④⑤は今後対応予定です。


4.2手術以外の治療法
当院では以下の治療法を提案させていただきます。

骨盤臓器脱による下垂感は本人にしか分からない不快なものです。
治療を行うことで快適な生活を取り戻し、楽しい人生をおくりましょう。
治療については当院女性泌尿器科外来(水曜日/完全予約制/担当医師:福島正人)へご相談ください。